【養生喪死(ようせいそうし)】の意味と例文と使い方

養生喪死(ようせいそうし)

「養生喪死」とは「生きている者を養い、亡くなった者には葬儀をして弔う事」です。一見すると当たり前の事ですが、それは常識が根付いた現代だからそう思えるのです。かつての古代中国では、思想として大勢に教える必要があったのでしょう。そんな「養生喪死」についての解説となります。

養生喪死の意味

「養生喪死」の意味は以下の通りです。
・子供が親に安定した生活を送らせて、亡くなった後には手厚く葬儀をする事。
・生ある者を十分に養い死んだ者を手厚く弔うという常識が定着した社会を目指す考えや思想。
・生きている人も死んでしまった人も手厚くしてやる事。
・「生を養い死を喪す」(せいをやしないしをそうす)と読む。
”養生”は「古代中国では、生命を養って長生をはかる」「健康の増進」「病気回復」、”喪死”は「死を忌み慎む」「死を弔う」となり、生きている間はしっかりと大切にして、亡くなったらきちんと葬儀を行って弔うのが「養生喪死」です。要するに「家族第一」や「家庭円満」に近いもので、生死に関わらず大切な人をきちんと労う事とも受け取れます。一般的には結婚した男性が、これまで育ててくれて老いた両親や自分の妻子に対して使うものです。また、古代中国の儒学者・孟子の目指す世界や思想でもあり、子供が両親を大切に思い亡くなった後には葬儀をして弔う行為を大勢の民が常識として自然に出来れば、それが王道政治の第一歩としたのです。自論も含めると、両親を大切に出来ず死者を弔いもしない者には、教養を身に付けたり仕事を頑張り家族を養う事は当然出来ず、そんな者ばかりの国造りはとても困難であると訴えたかったのでしょう。使い方としては、「養生喪死の思想」「養生喪死の考え」「養生喪死な理想」といった風になります。

養生喪死の由来・出典

「養生喪死」の由来は、中国戦国時代の儒学者・孟子による書物「孟子」の梁恵王・上です。

養生喪死の類義語・同義語

「養生喪死」の類義語には、「養生送死」などが挙げられます。

養生喪死の使い方・例文

例文1.女で一つで苦労をして育ててくれた母親には、養生喪死をすると心に誓った。
例文2.年々人間関係が希薄になり、養生喪死な社会から遠ざかっていくのが悲しい限りだ。
例文3.現在は不良で非行に走る我が子が、いつか養生喪死な考えに目覚めてくれるのか不安が募る。
例文4.ペットで飼っている柴犬の頭を撫でていると、養生喪死な感情が自然と芽生えて、実家の両親に電話でも入れて声を聞こうと思ってくる。
例文5.ジョンレノンやボブマーリーが目指した世界も、きっと養生喪死な思想と基本となるのは同じなのだろう。
両親や愛犬などを大切にする感情や生死を「養生喪死」とした例文です。

養生喪死の会話例

男性
コロナで最近は実家にも帰れないよ。
女性
私も一年ぐらい帰ってないなー。
男性
少しは親孝行をしないとダメだよな。
女性
うん。養生喪死って言うしね。親ぐらいに良くしないと、罰とか当たりそうだしね。

職場の同僚男女がコロナ禍で実家に帰れないと嘆いた会話をしています。

養生喪死の豆知識

「養生喪死」から”葬儀”に関する四字熟語は、成人式や結婚式に葬儀と祭礼といった儀式の総称「冠婚葬祭」、喪中の飼い犬から元気がなくやせ衰えている「喪家之狗」、白い車と白い馬で中国では葬儀に用いられる車馬の「素車白馬」などがあります。

養生喪死の難易度

「養生喪死」は漢字検定準2級から10級相当の文字組み合わせで、”喪”は準2級で高校レベル、”養”は7級、”死”は8級で小学校中学年レベル、”生”は10級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。

養生喪死のまとめ

「養生喪死」は生きている人は当然ながら亡くなってしまった者にも人間として尊厳を持って接する事で、生ある者を十分に養い死んだ者も手厚く弔うという意味です。よって、家庭を持った男性が両親や妻子に安定した生活を送らせ、また亡くなった時は葬儀をするのが「養生喪死」です。また、古代中国の偉人・孟子による王道政治や人としての基本や常識とした思想という側面もあります。

黒いリボンが養生喪死を表している。
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