【欣求浄土(ごんぐじょうど)】の意味と由来、使い方を実例で解説!

欣求浄土(ごんぐじょうど)

「極楽浄土」は大変有名ですが、対する「欣求浄土」はあまりにも知られていません。本来はペアで覚える言葉・四字熟語と言っても過言ではないですが、どうしても「極楽浄土」が大きく先行してしまい、「欣求浄土」は大分遅れてしまっている印象は否めません。それではマイナーだからこそ覚えて損はない「欣求浄土」についての解説となります。

欣求浄土の意味

欣求浄土」の意味は以下の通りです。
・極楽浄土で生まれ変わりを心から願う事。極楽浄土で往生する事を願い求める。
・仏教用語で、この世の理想郷である極楽浄土に心から喜んで願い求める。
・現世を嫌って離れる「厭離穢土」の対句として用いられる。
欣求浄土」は仏教用語で、苦しみのない世界や安楽の理想世界とされる「極楽浄土」に往生する事を切に願い求める事です。亡くなった後は「極楽浄土」で生まれ変わりたいとする願望であり、仏教徒にとっては誰もが望むべき最後の形です。実際に使用する際には「厭離穢土」(えんりえど、おんりえど)を最初に付け足し「厭離穢土 欣求浄土」という形が多く、江戸時代の天下人・徳川家康が旗印に使った事でも知られています。「厭離穢土 欣求浄土」は「穢れたこの世を厭い離れたいと願い、心から欣んで平和な極楽浄土をこい願う」となり、要は「汚れた世の中を嫌い離れたく、心から平和な極楽浄土で生まれ変わりたい」という意味です。”欣求”は「喜び求める」「積極的に求め願う」「仏の道を願い求める」、”浄土”は「極楽浄土の略」「浄土宗の略」「仏の住む世界」「煩悩やけがれがない」となります。

欣求浄土の由来・出典

欣求浄土」の由来は、平安時代中期の天台宗の僧・源信による仏教書「往生要集」にある冒頭の章名となります。因みに「厭離穢土」も同様です。

欣求浄土の類義語・同義語

欣求浄土」の類義語には、「安楽浄土」「厭穢欣浄」などが挙げられます。

欣求浄土の使い方・例文

例文1.老衰で入院している父の寝顔を見て、欣求浄土となってくれれば良いと切に思った。
例文2.仏教徒なら欣求浄土する事を望まない人は皆無だろう。
例文3.厭離穢土 欣求浄土は、大河ドラマ・真田丸の合戦シーンで旗印に用いられ、視聴者は忠実に再現されていると喜んだそうだ。
例文4.仏教に目覚めた娘は、厭離穢土 欣求浄土を口癖に将来は医者となりこの汚れた世の中から患者を一人でも多く救うことを望んでいる。
例文5.利権や権利争いが続く米中首脳には、厭離穢土 欣求浄土の意味をじっくりと説いてあげたい。
入院、仏教徒の心境、大河ドラマなどに「欣求浄土」を取り入れた例文となります。

欣求浄土の会話例

男性
痛いっ、腰がガクッときたよ。俺も年を取ったなー。
女性
まだ、30代じゃないですか。見た目も若いですよ。
男性
まだじゃなくて、「もう」だよ。あっという間に老いていくんだよ。
女性
今日は暗いですね。でも、欣求浄土の心境になるには若すぎますよね。極楽浄土も先輩の様に若い人は受け入れないですよ。だから、元気出して下さい。

職場にて、先輩男性が腰の痛みから老いを愚痴り、後輩女性が「欣求浄土」を使って必死にフォローしています。

欣求浄土の豆知識

欣求浄土」の由来ともなる源信による仏教書「往生要集」は、仏教の宗派「浄土宗」や「浄土教」が始まりとなります。浄土門や浄土思想とも呼ばれ、地獄や極楽を説いたのが他の宗派との大きな違いで、「南無阿弥陀仏」とお経を唱えれば救われ、極楽浄土にいけると庶民に訴えたので爆発的に世の中に広まったのです。ですから、日本においては仏教=浄土宗と言っても過言ではなく、「往生要集」に書かれている内容が後の仏教思想に大きな影響を与えています。中国やインドの仏教と日本の仏教が微妙に違うのは、浄土宗によるところが大きいです。

欣求浄土の難易度

欣求浄土」は漢字検定準1級から10級相当の文字組み合わせで、”欣”は準1級で大学一般レベル、”浄”は準2級で高校レベル、”求”と”土”は7級と10級で小学校中学年と低学年レベルの四字熟語となります。

欣求浄土のまとめ

欣求浄土」は、極楽浄土で生まれ変わると願う仏教用語となります。厳密には仏教でも「浄土宗」と深い繋がりがあり、仏教書「往生要集」に記され、そこから徳川家康が用いた事からも「厭離穢土 欣求浄土」と一緒に使用される事が多いです。「厭離穢土 欣求浄土」は、平和な極楽浄土に成る事を願うという趣旨になります。

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