五蘊皆空(ごうんかいくう)
｢五蘊皆空｣とは｢全ての物事は実体がない空｣という仏教の教えです。仏教の本質を突くとても重い言葉であると同時に、本当に難解なので偉いお坊さんでも何通りもの解釈があると思います。ですから、今回の解説も自論が多めで正確には捉えていないでしょうが、それも含めて仏教であり｢五蘊皆空｣なのです。現代流に解釈するなら、｢五蘊皆空｣こそ多様な社会や多様性を認める先見ではないかと思えてなりません。そんな｢五蘊皆空｣の解説となります。
五蘊皆空の意味
｢五蘊皆空｣の意味は以下の通りです。
・仏教用語で、人間界の現象や存在は全て実体がなく空(くう)である。
・人間の心身と環境を構成する五つの要素(五蘊)は全て空という事。
”五蘊”は｢仏教用語で人間の五つの要素で、色･受･想･行･識｣、”皆空”は｢全てが空｣｢全ては空しい｣｢全ては存在しない(存在する)｣となり、仏教の深い教えとなるのが｢五蘊皆空｣です。従って解釈がいくつもあり本当に難しい言葉ですが、まず”空”を理解する必要があります。”空”は仏教で最も重要な思想で、物事を肯定し否定するという相反する二つが込められています。また、だから空しいともなります。そして、”五蘊”は”五陰”の事で全ての存在は五つの集まりでそれぞれ物質の｢色｣、感覚の｢受｣、心の像｢想｣、欲求の｢行｣、意識の｢識｣となります。これを全てまとめると、人間を構成する五つの要素は実体しない(するが)本質としては存在する(しない)という肯定と否定の両方で、だから空であると説いています。従って、まとめると上記の様に、人間や存在する物事の全ては実体がなく、全ては空となります。｢実体がない｣は目の前には存在しても、いつかは必ず果てるので、それを見越して空となるのです。
五蘊皆空の由来・出典
｢五蘊皆空｣の由来は、大乗仏教の般若経典群の思想を説いた｢般若心経｣(正式名称:般若波羅蜜多心経)となります。
五蘊皆空の類義語・同義語
｢五蘊皆空｣の類義語には、｢色即是空｣｢一切皆空｣などが挙げられます。
五蘊皆空の使い方・例文
例文1.人生に嫌気が差し何もかも投げ出したくなって、駅のプラットホームのベンチで項垂れていた時、ふと仏教の五蘊皆空を思い出して少しだけ気持ちが楽になった。
例文2.高年収を稼ぎだすタレントやユーチューバーは画面越しに得意げに最高月収を語り、それを見た生活に余裕がない人は虚無感を抱くが、結局はお金とは概念的なもので五蘊皆空で言うなら最も無価値なものだと気が付いて欲しい。
例文3.初めての一人暮らしでこれから物を揃えていこうとしたら、彼女が｢物は五蘊皆空だから最低限でいいんじゃない｣と言ってからミニマリストに目覚めた。
例文4.幼い時に大事に飼っていた愛犬がある日突然亡くなり、立ち直るのに大分時間が掛かったが今は五蘊皆空で自分の心の中では生きていると思っている。
例文5.ビートルズの名曲などを聴いて心がしんみりするのは、精神的には五蘊皆空の境地に達したのと同じような事なのだろう。
人生の絶望感や物欲や金銭欲などを｢五蘊皆空｣で解決したという例文です。
五蘊皆空の会話例
女性にフラれて悲観的な職場の先輩男性に対し、同僚女性が冷静に物言いします。
五蘊皆空の豆知識
｢五蘊皆空｣をさらに突き詰めると｢諸行無常｣になり｢四苦八苦｣へと繋がっていきます。要するに、｢五蘊皆空｣だけで全容を解明するのは難しく、他の重要な仏教言葉と絡ませないと本質を理解出来ない様になっています。仏教は基本的に”無”や”空”を大前提とする宗教ですが、同時に”儚い”や”移り変わり”も理解すると、朧げながらも少しずつ分かってきます。
五蘊皆空の難易度
｢五蘊皆空｣は漢字検定1級から10級相当の文字組み合わせで、”蘊”は1級で大学一般レベル、”皆”は4級で中学レベル、”五”と”空”は10級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。
五蘊皆空のまとめ
｢五蘊皆空｣は仏教用語で、この世の全ては空であると説いています。抽象的であり概念めいているので解釈は難しいですが、全ての物事を肯定と否定をして、存在するからこそ反対側には存在しないという解釈も可能と説いています。
