【忘憂之物(ぼうゆうのもの)】の意味を例文や会話、由来・出典まで解説!

忘憂之物(ぼうゆうのもの)

「忘憂之物」とは「酒を称賛する言葉」です。お酒は日々のストレスを発散させる役目もあるので、それが如何に大事な事なのかと力説している様に、個人的には感じています。確かに憂さ晴らしとして、酒以上のものはないのでしょう。これに共感してくれる呑兵衛なら、隠語ではないですが、お酒を敢えて「忘憂之物」と言い換える事に理解できると思います。それでは、解説に入らせて頂きます。

忘憂之物の意味

「忘憂之物」の意味は以下の通りです。
・憂いや心配事を忘れさせてくれるので、酒その物や酒を称賛する言葉。
・酒の異称や美称。忘憂。
・諺「忘憂の物」も同義。
”忘憂”は「憂いを忘れさせる」「憂さ晴らし」「酒の異称」、”物”は「形ある対象」「形ない対象」となり、憂いという悲しみや心配めいた感情を一時的にしろ消し去ってくれる酒を称賛や感謝、又は絶賛する言葉が「忘憂之物」です。よって、酒の異称や美称とも言われ、人生における苦痛を和らげてくれると古代中国の詩人・陶潜も詠んでいます。さらに深掘りすると、当時は酒が及ぼす健康被害などは問題視されていなかったので、泥酔や酩酊状態まで飲んだくれると、日々の退屈な日常や不満などが忘れられると説いたのでしょう。それぐらい、酒とは偉大な飲み物であり、昔も今もコミュニケーションツールとして際立っています。

忘憂之物の由来・出典

「忘憂之物」の由来は、中国南北朝時代の詩人兼文学者・陶潜の「飲酒詩」となります。

忘憂之物の類義語・同義語

「忘憂之物」の類義語には、「百薬之長」「天之美禄」「一酔千日」などが挙げられます。

忘憂之物の使い方・例文

例文1.朝起きると二日酔いで頭痛と吐き気で気分最悪だが、それでも酒は忘憂之物で止める事は絶対にしない。
例文2.何十年も酒を飲む生活を送り、先日医者から絶対に止める様に促されたが、それでも最高の相棒である忘憂之物を飲めない人生は送りたくないと拒否をした。
例文3.仕事でのミス、前夫の娘が未だに懐かないなどの悩みを明日に持ち越さない為には、忘憂之物に頼るしかない。
例文4.人生に躓くと、忘憂之物の有難味が骨身に染みる。
例文5.悩みから冴えない顔や態度で一週間仕事をしていたら、週末になって業を煮やした上司が相談に乗ってくれて、二人で酩酊状態になるまで忘憂之物を楽しんで大分スッキリした。
酒好きを称える例文パターンとなります。

忘憂之物の会話例

男性
ちょっと、大声で話さないでくれる!
女性
ハハハ! また飲みすぎて、二日酔いなの? いい年なんだから、そんなに飲んだら体を悪くするよ。
男性
付き合いなんだよ。俺だって、健康診断の結果が悪くなるから飲みたくないんだよ。でも、店に入り席に座ると…。一杯が二杯、そこから会話が弾み…。
女性
結局は忘憂之物の誘惑に負けたと、また後悔するのね。本当に仕方がない人ね。

酒好きの夫に呆れる妻の会話風景です。

忘憂之物の豆知識

「忘憂之物」と同じように「忘れる」に関係する四字熟語は、傲慢になり過去を忘れる「貴人多忙」、物忘れが酷い「徙家忘妻」、自分磨きを忘れる「怠慢忘身」、目的達成後に忘れる「得魚忘筌」、恩を忘れて義理に背く「忘恩負義」などがあります。

忘憂之物の難易度

「忘憂之物」は漢字検定準1級から8級相当の文字組み合わせで、”之”は準1級で大学一般レベル、”憂”は3級で中学校卒業レベル、”忘”は5級で小学校高学年レベル、”物”は8級で小学校中学年レベルの四字熟語となります。

忘憂之物のまとめ

「忘憂之物」は、悲しみや辛さなど憂いを忘れる飲み物である酒を称賛する言葉です。それだけ酒とは、憂さ晴らしとして特別な存在なのでしょう。同時に大昔は酒による健康被害など悪影響を気にする訳もなく、日々のストレス発散や貴重な品として称えていたと理解できます。

忘憂之物は中国から伝わった。
最新情報をチェックしよう!