【平穏無事(へいおんぶじ)】の意味と例文と使い方

平穏無事(へいおんぶじ)

まるで暖かい春の一日を表現する言葉が「平穏無事」です。穏やかでまったく問題がなく、いつも通りに終わろうとする際に「今日も平穏無事だった」と脳裏を過る事もあるでしょう。正直なところ、面白味がないや退屈とも紙一重の言葉ですが、若さを失いだんだんと老いてくると「平穏無事」こそが幸せであり心底求めているものになるのです。そんな「平穏無事」についての解説となります。

平穏無事の意味

「平穏無事」の意味は以下の通りです。
・変わった事が何もなく穏やかそのもの。
・心配事や変わった事がなく穏やかで安らか。
・逆さにした「無事平穏」も同義となる。
”平穏”は「変わった事がなく穏やか」「穏やかで無事」、”無事”は「普段と変わりない」「平穏で悪い事がない」「平和である」で、同じ様な意味を繰り返し”平穏”や”平和”である事を強調しているのが「平穏無事」です。要するに、いつも通りの(平穏な)一日であり、取り立てて騒ぐような事がないとも解釈できます。さらに深読みするなら、ある程度満たされている人が使う言葉なので、どんなに平和でも精神的なストレスを抱えているなら、この様な心境にはならないでしょう。ですから、標準的な家庭環境や家族関係を構築した上で、例えば残業もなく定時で帰宅したり、家族と夕食を共にしたら所謂「平穏無事」という言葉に相応しい感があります。一方、平和で幸せな日々ながら退屈でどこか物足りない時にも、自嘲気味に「平穏無事」と使う傾向があります。一般的な使い方としては、「平穏無事を祈る」「平穏無事に過ごす」「平穏無事な日々を送る」「平穏無事に暮らす」といった感じになります。

平穏無事の由来・出典

「平穏無事」の由来は、残念ながら不明です。しかし、一説によると”平穏”と”無事”は仏教と繋がり深い言葉である事から、「四苦八苦」などの仏教用語から派生したとも言われていますが、信ぴょう性は分かっていません。文献としては、明治時代の経済学者・田口卯吉の「言論文章果して幾何の勢力あるや」(1888年)に文言が記されています。

平穏無事の類義語・同義語

「平穏無事」の類義語には、「安穏無事」「太平無事」「無事息災」などが挙げられます。

平穏無事の使い方・例文

例文1.集中豪雨で停電になったので家族と連絡が取れず心配したが、その後何とかやり取りが出来て平穏無事と知り一先ずは安心した。
例文2.今日こそ平穏無事で一日が終わると思った日にかぎって、父と母が激しい夫婦喧嘩を始める。
例文3.連日受験勉強で疲れ切っているので、平和という意味なら平穏無事だが、精神的には崖っぷちで発狂しそうだ。
例文4.彼女と過ごした半年間は心底から平穏無事な日々を送れていたと信じていたのに、それは自分だけの考えで、向こうは退屈すぎて無理だったようだ。
例文5.白米を食べ、白湯を飲み、煎餅布団で寝れるだけで平穏無事と思ってくれる我が子に、情けなくて父親として顔向けが出来ない。
普通に「平穏無事」を使った文章から、やや捻くれて使った例文となります。

平穏無事の会話例

男性
今日も何事もなく、平穏無事な一日が終わりそうだな。
女性
そうね。世間は何かと物騒だけど、我が家は平和で家族全員が健康でいられるから、感謝しないとね。
男性
うん。ところで、子供達はGo To Eatキャンペーンに何て言っている? 何が食べたいって?
女性
何か、高級中華や高級寿司が食べたいって。平穏無事だから、頭の中は食べる事ばっかりよ。

中年夫婦の就寝前の会話で、Go To Eatキャンペーンで子供達がどんな料理を食べたいのか話しています。

平穏無事の豆知識

「平穏無事」は穏やかや平和という意味合いなので、関連する四字熟語には「安寧秩序」「安穏無事」「王道楽土」「協和万邦」「天下泰平」といったものがあります。反対に平和ではなく混沌としている世の中は「天造草昧」「天地開闢」、秩序がない状態は「烏合之衆」「獣聚鳥散」となります。

平穏無事の難易度

「平穏無事」は漢字検定3級から8級相当の文字組み合わせで、”穏”は3級で中学校卒業レベル、”無”は7級、”平”と”事”は8級でそれぞれ小学校中学年レベルの四字熟語となります。

平穏無事のまとめ

「平穏無事」は、平和で穏やかな状態を言い表す四字熟語です。心配や悩み事もなく、穏やかな暮らしに対して使われ、現代流に喩えるなら「ストレスフリー」な状態です。本来は幸せで良い状態ながら、退屈として「平穏無事」を敢えて使う場合もあります。

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