【安穏無事(あんのんぶじ)】の意味と由来、使い方を実例で解説!

安穏無事(あんのんぶじ)

かつての中国や日本は、継続的に平和で安定した時代はなかったのでしょう。それは日中だけでなく世界各国で戦争や侵略がある意味で日常茶飯事で、他国を攻めて領土拡大や自国内でも権力を握る争いがあって然るべきとされ、それが当然だったのです。だからこそ、平和な日々を夢見て「安穏無事」や「安寧秩序」といった言葉が誕生したと思っています。今回は「平穏無事」にも大変よく似た「安穏無事」についての解説となります。

安穏無事の意味

「安穏無事」の意味は以下の通りです。
・普段と変わりなく穏やかで安らか。世間や社会や暮らしが穏やかで安らか。
・事件や事故もなく、社会や人々の暮らしに問題がない。
・「あんおんぶじ」とも読む。
世の中が平和で人々が安心して暮らせるのが「安穏無事」で、争いや問題も皆無で悩み事もない状態です。まるで理想郷のような社会ですが、贅沢ができ刺激があるという訳ではないので、逆に言うなら退屈や面白味がないとも解釈ができます。使い方によっては若者が日常語としても問題ないですが、それよりも高齢者や中高年、定年退職した人が穏やかな日々として用いたり、戦争やテロが頻発する国などが平和を求めて使う方が相応しいです。”安穏”は「落ち着いて気楽」「穏やか」「無事」、”無事”は「普段と変わりない」「過失や事故がない」となり、同じような意味を繰り返して無事や変わりない様を強調しています。また、実際の使用例としては、「安穏無事を祈る」「安穏無事に暮らす」「安穏無事な生活」といった感じになります。

安穏無事の由来・出典

「安穏無事」の由来は、残念ながら不明です。文献としては、”安穏”は鎌倉時代の世俗説話集「古今著聞集」(1254年)、”無事”は日本最古の漢詩集「懐風藻」(751年)などに文言が記されています。

安穏無事の類義語・同義語

「安穏無事」の類義語には、「無事息災」「平安無事」「平穏無事」などが挙げられます。

安穏無事の使い方・例文

例文1.3年間音沙汰がなかった兄から、「今は外国で暮らしているから心配しないでくれ」と突如メールが来たが、これで安穏無事とは到底思えず逆に不安が募るばかりだ。
例文2.入院生活が長くなると退院する方が逆に怖くなり、安穏無事な日常とは一体どこにあるのか考えてしまう。
例文3.呑んだくれの父がやっと家を出て行き、今は母と弟の三人で貧しいながらも安穏無事な日々が送れるようになった。
例文4.彼女とは互いが老人になっても、きっと幸せで安穏無事な毎日が過ごせると思ってしまった。
例文5.田舎に越した叔父夫婦は二人で仲良く暮らせて、毎日が安穏無事で幸せそうだ。
日常生活に訪れそうな状況で「安穏無事」を使った例文となります。

安穏無事の会話例

男性
ところで、前にも言っていた地方への移住って、やっぱり真剣に考えているの?
女性
私は本気というか、いつか実現したいと真剣に思っているわ。
男性
確かに東京でこのまま暮らすのは息苦しいし、逆に刺激がないかもしれないな。
女性
そうでしょう。田舎で畑を耕したり、夜空を眺めたり、そんな安穏無事な暮らしを二人で楽しみましょうよ。

中年夫婦がいずれは、田舎に越して「安穏無事」な生活を送りたいという会話をしています。

安穏無事の豆知識

「安穏無事」の”無事”は事件や事故がなく普段と変わらないとなるので、その様な意味合いの四字熟語は「一路順風」「一路平安」「延命息災」「天下泰平」「平穏無事」などがあります。これらを詳しくみると、旅路の無事、天候や気候的な無事、世の中の無事、戦争での兵の無事と様々な意味に分けられます。一言で”無事”に関する四字熟語といっても、状況に応じて様々な言葉があると理解できます。

安穏無事の難易度

「安穏無事」は漢字検定3級から8級相当の文字組み合わせで、”穏”は3級で中学卒業レベル、”無”は7級、”安”と”事”は8級でそれぞれ小学校中学年レベルの四字熟語となります。

安穏無事のまとめ

「安穏無事」は穏やかで安らか、事件や事故がなく人々が平和で暮らすという意味になります。穏やかなのは当然良い事ですが、同時に刺激が無い事でもあるので使い方にもよりますが、若者よりは高齢者などが日常で使う方が合っています。また、「平穏無事」と基本的にはまったく同じ意味で、どちらも穏やかや安らかを表現しています。

安穏無事とはとても言えない状況だ
最新情報をチェックしよう!