【礼楽刑政(れいがくけいせい)】の意味と例文と使い方

礼楽刑政(れいがくけいせい)

「礼楽刑政」とは「古代中国の礼儀・音楽・刑罰・政令からなる社会秩序を保つ為に必要な要素」です。この中で音楽だけ存在が浮いている様に感じますがこれは現代の娯楽の事で、当時から娯楽が重要視されていたのは少々驚きではないでしょうか。また、昔も今も法律や刑罰は理解できますが、礼儀を最初に持ってくるのは時代を象徴していますよね。それでは、遥か昔の国造りや秩序を理解できる「礼楽刑政」の解説となります。

礼楽刑政の意味

「礼楽刑政」の意味は以下の通りです。
・古代中国で国の秩序を保つために必要とされた四つで、礼儀・音楽・刑罰・政令の事。
・礼儀・音楽・刑罰・政令は(中国)社会を維持する為に最も重要な要素である。
・諺「礼楽刑政其の極は一なり」(れいがくけいせいそのきょくはいつなり)も同義。
”礼”は「礼儀」「礼節」、”楽”は「音楽」「娯楽」、”刑”は「刑罰」、”政”は「政令」「法律」となり、古代中国で用いられてきた社会を保つ為に最も重要とされる四つの基本です。”礼”は礼儀や礼節や節度であり、人々に対して常識や秩序を守る様に求めています。”楽”は音楽や娯楽で、仕事や礼儀だけでなく時には遊びや余暇で楽しむのも重要として、”刑”は犯罪予防であり罪を犯した者には罰を与える事で国の体制を守ります。そして”政”は法律やルールを人々が守る事で社会秩序が保たれるのです。この様な仕組みを成り立たせる為に、古代中国ではこれらから一文字を取って「礼楽刑政」として定着を図ったのです。よって、意味はまったく違いますが「士農工商」「風林火山」などと同じ理屈で成り立っている四字熟語となります。

礼楽刑政の由来・出典

「礼楽刑政」の由来は、古代中国の儒教経典「経書」の一つ「礼記」の「楽記」となります。

礼楽刑政の類義語・同義語

「礼楽刑政」の類義語は残念ながらありません。強いて挙げるなら意味合いが近いのは「益者三楽」となりますが、基本的にはまったく違う四字熟語です。

礼楽刑政の使い方・例文

例文1.乱れ切った日本社会を正すには、強権染みた礼楽刑政を決行する必要があるのかも知れない。
例文2.礼楽刑政其の極は一なりと言うが、それはまやかしであり人間社会はそんなに単純ではない。
例文3.礼楽刑政の中でも礼儀があれば社会規律が守られるが、これが実に難しいのは言うまでもない。
例文4.政治家などルールを制定する側は礼楽刑政の刑を自らに厳しくするべきなのに、日本では逆に甘くなっているのはお粗末以外の何ものでもない。
例文5.礼楽刑政はバランス配分が肝だが、現在は娯楽が肥大化した社会なので後から法律が作られていくという矛盾があり、法の網をかいくぐる犯罪が後を絶たない。
「礼楽刑政」を使って現在の社会を批判する様な例文となります。

礼楽刑政の会話例

男性
コロナ禍で緊急事態宣言が出されているのに、みんな弛んでいるね。
女性
緊急事態なのに、平気で街に出て遊んでいるんだものね。ただマスクをしているだけ。マスクは守るけど、ルールは破る。本当に不思議ね。
男性
だから、日本の法律は甘いんだよ。もっと厳しくしないとね。中国みたいに国が介入して町を閉鎖しないと、コロナは終わらないよ。
女性
でも中国だって、礼楽刑政っていうぐらいだから、娯楽を大事にしていない? となると、街に出るのはOKかな。

男女2人がコロナ渦の政府や人々の対応について会話を繰り広げています。

礼楽刑政の豆知識

「礼楽刑政」から”秩序”に関係する四字熟語は、国や社会が落ち着き秩序だっている「安寧秩序」、酷く混乱して秩序がない「右往左往」、秩序がない集団で規律も統制もない「烏合之衆」、奇怪で秩序を乱す「怪力乱神」、上下の順序が逆になり秩序が乱れる「冠履転倒」、国家の規律や秩序や政治の有り方を正す「綱紀粛正」などがあります。

礼楽刑政の難易度

「礼楽刑政」は漢字検定3級から9級相当の文字組み合わせで、”刑”は3級で中学卒業レベル、”政”は6級で小学校高学年レベル、”礼”は8級で小学校中学年レベル、”楽”は9級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。

礼楽刑政のまとめ

「礼楽刑政」は、古代中国の社会秩序を守る為の四つである礼儀・音楽(娯楽)・刑罰・政令(法律)からなる言葉です。この様な概念は現在の日本でも通じる所があるので、改めて古代中国の成熟した統治能力に驚かされた事でしょう。一方、日常用語としては使い勝手が悪く使い道は正直なところありませんが、中国文化や歴史を知る上で覚えておくべきでしょう。

礼楽刑政で秩序を保った。
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