【官尊民卑(かんそんみんぴ)】の意味と由来、使い方を実例で解説!

官尊民卑(かんそんみんぴ)

「官民一体」や「官民連携」に「官民ファンド」などの言葉は有名ですが、「官尊民卑」は理解している人は少ないと思います。しかし、この言葉は日本社会の闇を的確に表現し、国や政府の全ての問題の根源にあるものと言っても過言ではない程です。権力を握る側が自分達は特別だと錯覚し、それ以外を見下した結果、怠慢な政策や方針が人口減少や高齢化に社会空洞化になったと批判されても仕方がないのではと思えてしまいます。それでは、日本の大問題である「官尊民卑」についての解説となります。

官尊民卑の意味

「官尊民卑」の意味は以下の通りです。
・政府や役人・官吏やその官営事業を尊び、民間人や民間事業を卑しむ。
・国家に関係する物事は尊び、民間人は国に服従する存在なので軽んじるという考え方。
・福沢諭吉による政治学用語で、官僚は尊いものに対し民衆は従うだけの卑しい存在とするもの。
”官尊”は「政府や役人を敬う」、”民卑”は「一般人や民間企業を低く扱う」「庶民などを見下す」となり、要するに、政府や役人を上に扱い庶民や民間企業は下に位置付けする事です。さらに簡単に言うなら、政府が絶対で民間を見下す差別的な思想であり慣習とされ、現在の人権差別や人種差別に通じるものです。民間人は政府があって存在するので単なる服従するものとして軽んじたり、またそんな考え方や風潮を「官尊民卑」とします。この言葉を編み出した福沢諭吉は「官尊民卑」を強く否定し、著書「学問のすすめ」でも痛烈に批判を展開しています。実際の使い方としては、「官尊民卑の考え」「官尊民卑の傾向」といった形で用いられます。

官尊民卑の由来・出典

「官尊民卑」の由来は、近代日本を代表する思想家であり教育者・福沢諭吉の著書「福翁百話」(1896年)や「学問のすすめ」(1872年)となります。これらの著書で、「日本国語大辞典」に記された政府を尊いものとする考えを批判しています。

官尊民卑の類義語・同義語

「官尊民卑」の類義語には、「官民格差」「男尊女卑」「民尊官卑」「官民差別」などが挙げられます。

官尊民卑の使い方・例文

例文1.官尊民卑は姿形を変えて今でも残っていて、それは東大生が官僚を目指す構造がある限りなくならない。
例文2.政治家は税金を貰っている立場なのに、なぜ官尊民卑な姿勢で威張れるのか不思議で仕方がない。
例文3.人権問題を取り組む先進国ほど、官尊民卑な考えが根付いているのも実におかしな所だ。
例文4.政府を応援する姿勢を示したら、反体制側の知人から「官尊民卑なんだね」とガッカリされた。
例文5.一般企業は経営悪化すれば給料カットやリストラされるが、税収不足で国債を大量に発行しているのに給料が上がり続ける役人には、「官尊民卑な人達だから」と陰口を叩かれても仕方がない。
政府や役人を否定する文章に「官尊民卑」を使った例文となります。

官尊民卑の会話例

男性
何で最近、家事の手を抜いているの?
女性
手を抜く? 私だって働きながら、家事もして大変なの! 少しは手伝ってもいいんじゃない!
男性
そっちはパートだけど、俺は正社員でフルに働いているんだよ。それに家事は女の仕事だろ!
女性
それは男女平等じゃないし、まるで男尊女卑や官尊民卑の様な古臭い考え! あなたがそんな人だとは思わなかったわ。

家事をめぐって、夫婦の口論がヒートアップしていきます。

官尊民卑の豆知識

日本社会のシステムは常に「官尊民卑」と言われ、なぜなら企業側を管轄するのは経済産業省なので必然で変わりようがありません。そして各省庁を天下りした役人が企業に就く訳ですから、言葉として「官尊民卑」を無くそうや悪い事としても、結局は無理なのです。そこに権力を握る保守派や愛国心を謳う支持層までが、企業の過ちには声高になっても、国の問題にはなぜか黙ります。「官尊民卑の思想」は想像以上に根強く、今後も続いていくでしょう。

官尊民卑の難易度

「官尊民卑」は漢字検定3級から7級相当の文字組み合わせで、”卑”は3級で中学卒業レベル、”尊”は5級で小学校高学年レベル、”官”と”民”は7級で小学校中学年レベルの四字熟語となります。

官尊民卑のまとめ

「官尊民卑」は、政府や役人の立場が上で企業や民間人の立場は下に扱うとする戦前戦後から長く続く日本の悪しき慣習です。政府事業などは尊び民間事業は卑しむという考えは、国家という権力を握る役人の優越感から来るものですが、結局は男女差別や人種差別など根底には人を見下し上に立つ意識がある以上、無くなる事はありません。

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