【扇枕温衾(せんちんおんきん)】の意味と由来、使い方を実例で解説!

扇枕温衾(せんちんおんきん)

「扇枕温衾」とは「両親が眠れるように扇で扇いだり布団を温める事から、親孝行や両親を大切する喩え」です。現代人は流石に扇いだり布団を温める事はしませんが、プレゼントを渡したりと何かと気遣っていますよね。そんな両親を大切にする気持ちというのは、時代や国境を越えて万国共通なのです。それでは解説に入らせて頂きます。

扇枕温衾の意味

「扇枕温衾」の意味は以下の通りです。
・両親を大切にする喩え。
・親孝行や両親を大事にする言葉。
・諺「枕を扇ぎ衾を温む」(まくらをあおぎふすまをあたたむ)も同義。
”扇枕”は「枕元で扇を扇ぐ」、”温衾”は「布団を温める」「掛け布団を温める」で、夏は親が眠る枕元で扇を扇ぎ風を送り、冬は自分の体温で親が眠る前に布団を温めてと、どんな季節でも両親が眠りやすくする気遣いが転じて、両親を大切に扱う喩えが「扇枕温衾」です。要するに、両親への感謝や親孝行の言葉であり、せめて寝る時ぐらいは快適になるように努めています。現代人の感覚だと理解し辛い面もありますが、古代中国では冬は寒く夏は暑くて眠り難いと想像できます。老いた両親だと尚更、眠りにつくのも大変なのでしょう。ですから少しでも暖かくや涼しくなるように子供が気遣っているのです。

扇枕温衾の由来・出典

「扇枕温衾」の由来は、中国晋時代の歴史書「晋書」の「王延伝」となります。

扇枕温衾の類義語・同義語

「扇枕温衾」の類義語には、「扇枕温被」「温凊定省」などが挙げられます。

扇枕温衾の使い方・例文

例文1.母の日になり、偶には扇枕温衾をしようとカーネーションをプレゼントしたら「現金はないのか」と小言を言われ、そこから壮大な親子喧嘩が始まった。
例文2.扇枕温衾で評判な同僚は、土日になると母親と買物や掃除をして助けているそうだが、流石に毎週やるのは行き過ぎではないのかと心配してしまう。
例文3.苦労をかけた両親に扇枕温衾をしようと思うが、照れ臭くて実現がなかなか出来ない。
例文4.性格が良いと評判の同僚女性が母親と電話をしているのを偶然聞いてしまったが、あまりも暴言が多くて扇枕温衾などは絶対にしない子だと興醒めした。
例文5.売れてきた芸人が扇枕温衾なトークを披露するのは鉄板だが、視聴者はそれを求めて感動するようだ。
様々な親孝行について「扇枕温衾」を使った例文となります。

扇枕温衾の会話例

男性
あっそうだ。来週の母の日、俺の実家に行くからね。
女性
毎年の恒例だものね。ところで、帰るって電話いれたの?
男性
今年はいきなり帰って、ドッキリを狙っているんだよ。
女性
それも扇枕温衾で喜ぶかもね。でも、プレゼントは持っていかないとダメよね。何を買おうかしら…。

若い夫婦が母の日は実家に遊びに行くという会話をしています。

扇枕温衾の豆知識

「扇枕温衾」から”親孝行”に関する四字熟語は、精神的な情愛がなく物質だけな援助で済ませる事で誠意のない親孝行の喩え「犬馬之養」、親に豪華な食事をもてなす事で親孝行を惜しまない「三牲之養」、人の体は親から授かったものなので、一生大切にして傷つけないのが親孝行でもあるとする「全生全帰」などがあります。

扇枕温衾の難易度

「扇枕温衾」は漢字検定1級から8級相当の文字組み合わせで、”衾”は1級で大学一般レベル、”枕”は2級で高校卒業レベル、”扇”は4級で中学レベル、”温”は8級で小学校中学年レベルの四字熟語となります。

扇枕温衾のまとめ

「扇枕温衾」は両親が眠れるようにと扇で扇いだり体温で布団を温めておく事で、要するに親孝行や両親を大切にするという意味です。それぐらい自分を生んで育ててくれた両親には感謝をするべきと、説いています。

扇枕温衾をする息子とその両親
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