【乳母日傘(おんばひがさ)】の意味と例文と使い方

乳母日傘(おんばひがさ)

誰だって我が子は特別に可愛いので、大事に育てるのは理解ができるものです。しかし、度を超えるとちょっといかがなものでは、と思いませんか? でも、身内や他人でもよその家庭に育て方を忠告する事って、なかなか出来ないですよね。いくら過保護過ぎではと思っても、それを口にすると揉め事に発展する恐れがあるからです。「乳母日傘」は子供大事に育てる事で、それを出来るのは恵まれた環境が整っているから為せる業なのでしょう。それでは、解説に入らせて頂きます。

乳母日傘の意味

「乳母日傘」の意味は以下の通りです。
・恵まれた環境で子供が大切に育てられる事。過保護。
・幼児に乳母を付け日差しが当たらないように傘をさす事から転じて、幼児を過保護に育てる。
・「おんばひからかさ」とも読む
”乳母”は「母親代わりに子供に乳を与える女」「乳児に授乳する女性」、”日傘”は「日差しを遮る傘」で、子供に乳母を付け日傘を差す事です。そこから、上記の様な過保護や甘やかすという意味で使われるのが「乳母日傘」です。良く言えば幼児を愛情から大切に育てる事で、悪く言うなら過保護や必要以上に大事にする事で、「温室育ち」「甘やかし」とも解釈可能になります。誤解を恐れずに言えば、お金持ちのお坊ちゃんお嬢ちゃんをまるで家族や召使の総出で、大事に大事に育てる様と想像できます。そもそも、昔も今も貧しい家庭だけでなく一般の家庭でも乳母などはいませんし、子供に日傘を差すなど昔は裕福な家庭以外では考えられなかったからです。使い方としては、「乳母日傘で育てられた」「乳母日傘で守られた」といった形が多くなります。

乳母日傘の由来・出典

「乳母日傘」の由来は、残念ながら不明です。文献としては、明治時代を代表する評論家・内田魯庵の「老車夫」(1898年)などに文言が記されています。

乳母日傘の類義語・同義語

「乳母日傘」の類義語は「総領息子」など、四字熟語以外では「過保護」「目の中に入れても痛くない」「秘蔵っ子」「溺愛」などが挙げられます。

乳母日傘の使い方・例文

例文1.実家は地元では有名な名家なので、まるで乳母日傘の様に大切に育てられ、30歳になった今でも毎月仕送りを貰っているほどだ。
例文2.子供の頃は乳母日傘で育てられるのが鬱陶しかったが、結婚して親になると自分も同じように子供に接するので血は争えないと実感した。
例文3.非行に走る子供の多くは、乳母日傘で大切に育てられたか、親からの愛情なく育ったかのどちらかで両極端過ぎるのが問題なようだ。
例文4.乳母日傘で大事に守られて大人になると、些細な事でいつか癇癪から職場で問題を起こしそうな気がしないでもない。
例文5.学生時代に友人の家に遊びに行ったら、ありとあらゆる家電製品が揃っていて思わず驚いたら、平然と実家から送られてきたと答えた。その時、彼は乳母日傘なんだと感じ取った。
過保護で育った人を「乳母日傘」とした例文です。

乳母日傘の会話例

男性
俺って、こう見えても実は…乳母日傘で育てられたんだよね。
女性
うん。知ってる。多分、職場の全員がうすうす気付いていると思うよ。
男性
本当に! 軽くショックなんだけど。ところでどうして?
女性
その甘ちゃんな性格は、子供の頃は過保護だったと普通に思うよ。でも、いいじゃない。実家がお金持ちなんでしょう!

職場にて、過保護に育てられたであろう男性に対して女性が厳しいツッコミを入れる二人の会話です。

乳母日傘の豆知識

「乳母日傘」から”過保護”についての解説となります。過保護は子供を甘やかす事ですが、具体的には幼少期から大人になるまでに躾をせずに成長させる事です。戦前や戦後の日本でも、実際には過保護があったようですが表面化する事はなく、そこまで大きな問題とはなっていません。しかし、少子社会の入り口となる昭和45年頃から少しずつ増えてきました。要因として、景気が良くなり一般の生活に余裕が出てきて、子供に使えるお金が増えた事などが関係しています。過保護という言葉も、昭和45年頃から使われる様になりました。

乳母日傘の難易度

「乳母日傘」は漢字検定準2級から10級相当の文字組み合わせで、”傘”は準2級で高校レベル、”乳”は5級で小学校高学年レベル、”母”は9級、”日”は10級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。

乳母日傘のまとめ

「乳母日傘」は子供に乳母を付けたり日傘を差す事から、我が子を大切や大事に育てるという意味です。大事に育てすぎるという事から、過保護や甘やかし過ぎるという意味も込められているので、この辺りは使い方次第となります。それだけ恵まれた環境なのは事実で、裕福だからこそ乳母を付けるなど大事に育てる事が出来ると理解しましょう。

乳母日傘に甘やかされる
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