前代未聞(ぜんだいみもん)
｢前代未聞｣は新聞やネット記事などで、それこそ過大表現や注目を集めるテクニックとして頻繁に使われます。良い事でも悪い事でも見聞きしますが、個人的には悪い事で｢前代未聞｣が使われる印象がありますが、どうでしょうか？ 一方で、新しいチャレンジで成功した際にも｢前代未聞｣が多い気がしますし、不祥事ばかりが多いと感じるのは思い込みなのかも知れません。では、解説に入らせて頂きます。
前代未聞の意味
｢前代未聞｣の意味は以下の通りです。
・これまで聞いたり見た事がない大変珍しい変わった事や事態。
・大変な出来事。非常に珍しい事。
｢前代未聞｣はこれまで経験していない珍しく変わった出来事で、良くも悪くも大変稀な事です。基本的には当事者だけではなく、一般的や世間的にも珍しい際に用いられる表現で、例として大変残虐な事件が発生した場合は｢前代未聞の残虐事件｣といった感じで使われます。ですから、未曾有や空前といった言葉ともほぼ同義であり、明確な使い分けの判断基準も曖昧で個人の裁量判断といったところです。”前代”は｢前時代｣｢先代｣｢前代未聞の略｣、”未聞”は｢まだ聞いた事がない｣｢今までに聞いた事がない｣という意味です。
前代未聞の由来・出典
｢前代未聞｣の由来は、残念ながら不明です。文献としては、奈良県の興福寺の歴史的文書｢興福寺牒状｣(1198年)、日本の古典歴史文学｢太平記｣(14世紀頃)などに文言が記されています。
前代未聞の類義語・同義語
｢前代未聞｣の類義語には、｢空前絶後｣｢破天荒解｣などが挙げられます。
前代未聞の使い方・例文
例文1.コロナ渦によって世界各国の政府は、前代未聞の外出禁止令や入国禁止措置が一斉に取られた。
例文2.内閣は前代未聞な驚きを国民に何度も与え、公的文書でさえ都合が悪くなると破棄したと平然と答弁を繰り返す。
例文3.オリンピックが延期になったのは、それこそ前代未聞な出来事で誰もが過去の記憶にない事だろう。
例文4.官邸への入邸記録を破棄、公文書は改ざんと前代未聞な内閣を平然と支持する国民の感覚もどこか大きく狂っている。
例文5.近所で前代未聞の怪事件が発生し、静かな村には警察にテレビ局や新聞社のマスコミが大勢詰めかけ、途端に物々しくなった。
政府や各国のコロナ対応、内閣不祥事などで｢前代未聞｣を使った例文です。
前代未聞の会話例
仲の良い男女2人が、芸能人の薬物事件について辛口意見を言い合っています。
前代未聞の豆知識
｢前代未聞｣と似た意味や関連深い言葉は、未曾有や空前、そして凶事や破天荒や不祥事となります。天災や事件事故、スポーツの大記録、画期的な発明といった様々な分野で使われる｢前代未聞｣は、やはりある種の驚きを表現する言葉という位置付けが相応しいのかも知れません。ですから、画期的や革命的といった言葉ともまた近いものを感じさせます。
前代未聞の難易度
｢前代未聞｣は漢字検定7級から9級相当の文字組み合わせで、”未”と”代”は7級と8級で小学校中学年レベル、”前”と”聞”は9級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。
前代未聞のまとめ
｢前代未聞｣は、かつて見聞きした事がない大変珍しい出来事という意味で、スポーツの大記録や企業の技術革新から重大事件や自然災害の大惨事など様々な状況で使われる言葉です。未曾有や空前など似通った意味の言葉も多く、またテレビや新聞などの注目を集めるキーワードとしても重宝されています。
