【阿鼻叫喚(あびきょうかん)】の意味を例文や会話、由来・出典まで解説!

阿鼻叫喚(あびきょうかん)

昨今は震災や豪雨災害など、自然災害が明らかに増えています。そして同時に、交通事故や凶悪犯罪なども凄惨なものが多くなった気がするのですが、どうでしょうか? これらの被害者の混乱した心境を的確に表現しているのが「阿鼻叫喚」です。では、より詳しく解説をさせて頂きます。

阿鼻叫喚の意味

「阿鼻叫喚」の意味は以下の通りです。
・悲惨な状況で混乱し泣き叫ぶ。非常にむごたらしい状況で号泣し救いを求める。
・仏教用語の一つで、阿鼻地獄と叫喚地獄の二つを合わせたもの。
・地獄に落ちた亡者が責め苦に堪えられず泣き叫ぶ。
・正式には「阿鼻叫喚地獄」となり、それを略したもの。
仏教用語の阿鼻地獄と叫喚地獄を合わせたのが「阿鼻叫喚」です。阿鼻地獄は地下の最深部にあるとされる最悪の地獄で、大罪を犯した者が落ち、火の車・剣の山などで絶えまなく苦しみを受け続けます。叫喚地獄は生前に殺生や邪淫や飲酒をした者が送られ、熱湯や猛火で責められ号泣や叫喚を繰り返すとされています。この二つの地獄を合わせたのが「阿鼻叫喚」なので、実生活で非常に苦しい状態を喩えたり、悪人への更生や子供などへの躾などで使う場合もあります。

阿鼻叫喚の由来・出典

「阿鼻叫喚」の由来として、インドなど東南アジアの古代言語「サンスクリット語」やヒンドゥー教が関係してきます。”阿鼻”はサンスクリット語「avici」の音写「阿鼻旨」の略で「無間(地獄)」となり、「阿鼻地獄」ともなります。また”叫喚”は叫び声のサンスクリット語「raurava」の漢訳で「叫喚地獄」の事です。

阿鼻叫喚の類義語・同義語

「阿鼻叫喚」の類義語には、「地獄絵図」「叫喚地獄」などが挙げられます。

阿鼻叫喚の使い方・例文

例文1.悪さばかりする3歳の息子に、きつく注意をしたらこの世の終わりの様な阿鼻叫喚で泣き叫び、ほとほとお手上げしてしまった。
例文2.交通事故の現場を目撃したら、被害に遭った車の同乗者であろう女性が阿鼻叫喚に興奮し喚き散らし、複数人の警官がなだめていた。
例文3.普段は威張ってばかりの同僚が飲み屋で輩に絡まれ、阿鼻叫喚で許しを請う姿は思わず口元がゆるんでしまった。
例文4.普段は冷静だと自己分析していたが、母親が突然亡くなりその姿を目の前で確認した時は、我慢していたものが切れて阿鼻叫喚してしまった。
例文5.パチンコで大金を失ったのか、入口で阿鼻叫喚している男性の姿を見た時に、明日は我が身だと危機感を抱いた。
泣き叫ぶ、大暴れなどの様子を「阿鼻叫喚」とした例文です。

阿鼻叫喚の会話例

男性
コロナの所為もあるけど、最近は業績がかなり悪いよね。
女性
本当ですよ。大丈夫なんですか、うちの会社は?
男性
ここだけの話だけど…、昨日は課長が阿鼻叫喚みたいになって大変だったよ。上から責められてばかりだから、我慢の限界に達したんだろうね。
女性
とにかく我々末端が少しでも頑張って、売上を上げるしかないですね。

コロナで業績不調に陥った職場での同僚男女の会話です。上から叱責された課長が阿鼻共感となったと、男性が女性に伝えています。

阿鼻叫喚の豆知識

「阿鼻叫喚」は地獄に関係しているので、同様の四字熟語は「牛頭馬頭」「焦熱地獄」「無間地獄」などがあります。反対の意味となる天国・極楽を意味するのは「極楽浄土」「十万億土」「西方浄土」「怨親平等」などです。これらの共通点として、地獄や天国、或いは極楽に関係している多くは仏教用語というルーツがあります。

阿鼻叫喚の難易度

「阿鼻叫喚」は漢字検定準1級から8級相当の文字組み合わせで、”阿”は準1級で大学一般レベル、”喚”と”叫”は3級と4級で中学校レベル、”鼻”は8級で小学校中学年レベルの四字熟語となります。

阿鼻叫喚のまとめ

「阿鼻叫喚」は、仏教用語の阿鼻地獄と叫喚地獄を合わせたもので、どちらも極楽に行けない悪人が絶え間なく拷問を受ける凄惨な事から、悲惨な状況に陥り混乱し泣き叫ぶや号泣し救いを求めるという意味となります。自然災害や事故や事件などで、地獄のような現場を喩えて使用する際に用いたりします。

阿鼻叫喚する女性
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