【綱紀粛正(こうきしゅくせい)】の意味と例文と使い方

綱紀粛正(こうきしゅくせい)

「綱紀粛正」の”粛正”は、”粛清”と混同して勘違いをしている人が多いと思います。”粛清”は戦争やその際の虐殺や弾圧で使われる事が多く、そこから「綱紀粛正」もあまり良い印象を抱かないかも知れませんが、今回は”粛正”であり、どちらかと言うなら”粛清”が行われる不正社会を許さないという意味が込められています。”粛正”と”粛清”は「厳しく取り締まる」という点では似通っているので誤解しやすいですが、よく似ていても肝心な点が大きく違うと覚えておきましょう。それでは、「綱紀粛正」の解説となります。

綱紀粛正の意味

「綱紀粛正」の意味は以下の通りです。
・国の法律や規則を引き締め、不正を厳しく取り締まる。
・法律を厳しくする事から転じて、不正行為をなくさせる。
・国の規律や秩序、政治や政治家、役人などの態度を正しくさせる。
”綱紀”は「国を治める法律や規則」「国家としての規律」「物事を締めくくる」、”粛正”は「厳しく取り締まり不正を正す」「慎み深く正しい」で、上記の様な意味合いです。”綱”は「太い綱」「大綱」、”紀”は「細い綱」「小綱」なので、国の法律である大法と細則である規則となります。それに、不正を取り除くといった意味合いを足して、一般人だけでなく政治家や役人など国に仕える人も厳しくし、また彼らの態度を正す事となります。よって、相手が誰であろうと国の為に厳しく取り締まり、不正は絶対に許さないとする、強い意志を示す言葉なのです。現在ではとても重苦しい響きの言葉で、それだけに堅苦しい使い方が多くなります。実際の文章としては、「綱紀粛正を努める」「綱紀粛正を施行」「綱紀粛正の徹底」などの形があります。

綱紀粛正の由来・出典

「綱紀粛正」の由来は、残念ながら不明です。文献としては、作家・北村寿夫の「街頭の風」(1930年)などに文言が記されています。

綱紀粛正の類義語・同義語

「綱紀粛正」の類義語には、「是是非非」「秋霜烈日」などが挙げられます。

綱紀粛正の使い方・例文

例文1.不良生徒が多く荒れている中学校に新しい体育教師がやってきたら、綱紀粛正が徹底され生徒も途端に真面目になった。
例文2.中国は街中が監視カメラだらけなので、綱紀粛正が図られるようになって、人民のマナーが向上した。
例文3.今の日本では法律的な問題もあり、本格的に綱紀粛正を徹底するのは難しいが、それこそ民主主義国家として正しい姿である。
例文4.新社長が綱紀粛正を新たに始めたら、社員が途端にやる気をなくして業績がダウンしてしまった。
例文5.コロナで多額の税金投入や国債発行をしているが、それは綱紀粛正というツケとなって国民に返ってくる。
「綱紀粛正」を政治や中国社会などに使った例文となります。

綱紀粛正の会話例

男性
コロナの感染者がどんどん増えているよ。これは何が原因なんだろう?
女性
原因も何も、もっと厳しく取り締まらないからだよ。仕事でもないのに遊び歩いている人ばかりだもの。法改正でもして、交通違反みたいに罰則すればいいのに。
男性
それって綱紀粛正をしろって事だよね。ちょっと、日本の風潮には合わないんじゃない?
女性
コロナと人類の戦いの前に、呑気な事は言ってられないでしょう。私は断固、綱紀粛正に賛成だけどな。

男女2人がコロナ対策について、意見を交わしています。

綱紀粛正の豆知識

「綱紀粛正」は法律や規則に関する四字熟語なので、同じようなものには、人が守るべき法律の「金科玉条」、法律が守られない「綱紀廃弛」、刑の判決を伸ばし問題がない場合は執行をしない「執行猶予」、法律の行使を受けない「治外法権」、法律用語では損害を防げなかった「不可抗力」などがあります。

綱紀粛正の難易度

「綱紀粛正」は漢字検定準2級から10級相当の文字組み合わせで、”粛”は準2級で高校レベル、”綱”は3級で中学レベル、”紀”は6級で小学校高学年レベル、”正”は10級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。

綱紀粛正のまとめ

「綱紀粛正」は、国として法律や規則、または規律や秩序を引き締めて不正を厳しく取り締まる事です。また、政治家や役人の態度を正すという意味もあり、国や法律の前では例え政治家でも不正行為は見逃さないという強い意志を感じさせます。

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