【悪人正機(あくにんしょうき)】の意味と例文と使い方

悪人正機(あくにんしょうき)

一見すると「悪人正義」と読んでしまいそうにもなりますが、正しくは「悪人正機」です。これだけでは意味が分かりかねますが、仏教用語なだけあり深い意味が隠されています。これを読んでいる善人の皆さんには受け入れられないでしょうが、万人を救う上ではこの様な考えも必要なのでしょう。それでは解説となります。

悪人正機の意味

「悪人正機」の意味は以下の通りです。
・悪人こそ救済するべき対象とする(悪人正機説)。
・阿弥陀仏の本願は悪人を救う事で、その様な思想や説の事。
・他力を本願とする親鸞の思想。
「悪人正機」を理解するには、善人と悪人の定義めいたものを知る必要があります。現代における善悪という概念ではなく、この時代では善人は平たく言うと、仏教に目覚めた者であり救済の必要がない者です。善人が自己で悟りを開けるのに対し、悪人は仏を信じていない全ての者です。よって、鎌倉時代の仏教家・親鸞は「全ての人々は本来悪人である」と述べているほどです。この様な背景を踏まえて、大乗仏教の如来である阿弥陀仏の本願は、仏教とは距離を置く人々(悪人)を救う事として、この様な思想を「悪人正機説」と呼びます。「悪人正機説」は親鸞の根本思想として、他力本願でもありその後の仏教世界に大きな影響を与えています。

悪人正機の由来・出典

「悪人正機」の由来は、親鸞に師事した河和田の唯円による仏教書「歎異抄」となります。

悪人正機の類義語・同義語

「悪人正機」の類義語には「他力本願」などが挙げられます。四字熟語以外では、「相手任せ」「丸投げ」「お任せ」なども近い意味となります。

悪人正機の使い方・例文

例文1.罪人にも弁護士がついたり、刑務所に服役させ更生させる仕組みは、広い意味での悪人正機ではないだろうか。
例文2.仏教に目覚め仏道の修行をする様になって、やっと本当の意味での仏教徒以外も救う悪人正機が理解できた気がする。
例文3.国語を教える担任教師は、生徒一人ひとりに悪人正機説を丁寧に教えてくれる。
例文4.悪人正機説に出会い、一回り大きく成長できるようになった。
例文5.仮に仏教を信じなくても、そんな人まで救い救済する悪人正機は大変素晴らしい。
悪人正機や悪人正機説を現在の社会生活などに当て嵌めた例文となります。

悪人正機の会話例

男性
神社仏閣巡りが趣味なんだってね。 次はどこに行くか決めた?
女性
今度は有休を使って、京都をもう一度ゆっくり巡ってみようと思っています。
男性
京都いいよね。それにしても、仏教徒以外も迎え入れる気がする神社仏閣は懐が大きいね。
女性
悪人正機という思想が影響しているんですよ。仏教徒に関係なく全員を救う教えなんです。

職場の男女が、仏教の神社仏閣めぐりから「悪人正機」について会話を繰り広げます。

悪人正機の豆知識

「悪人正機」とは「他力本願」とかなり近い意味があります。現在における「他力本願」は、自ら努力しないで他人に頼るという意味が根強いですが、本来は仏教用語であり、阿弥陀如来の本願で人間を含めた生物が極楽往生を得る事です。要は仏教徒以外でも、魂を救い極楽浄土に案内するという解釈ができます。それが現在は、”他力”が「他人の力に頼る」と大きく捉えられ、他人任せ的な扱いとなってしまっています。

悪人正機の難易度

「悪人正機」は漢字検定7級から10級相当の文字組み合わせで、”機”と”悪”は7級と8級で小学校中学年、”人”と”正”は10級で小学校低学年で習う四字熟語となります。

悪人正機のまとめ

「悪人正機」は仏教に古くから根付く考えや説で、仏教徒以外の所謂悪人と呼ぶ人達も救い、また本来の救済対象とするものです。無宗教や他宗教を信じる者からすれば、仏教を拠り所や頼る事になるのでそこから他力本願とも言われ、仏教家・親鸞らによって広く普及しました。

悪人正機こそ仏教の本質だ
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