【一部始終(いちぶしじゅう)】の意味と由来、使い方を実例で解説!

一部始終(いちぶしじゅう)

ワイドショーなどで犯行の全容を放映する前に、「〇○の一部始終をカメラに収めるのに成功した」といったナレーションや司会者のセリフを聞いた覚えがあると思います。この事から、犯罪などとセットな印象が強い「一部始終」ですが、実は書籍とも関係深い言葉だそうです。それでは、解説をさせて頂きます。

一部始終の意味

「一部始終」の意味は以下の通りです。
・最初から終わりまで。物事の始めから終わりまで。
・詳しい全事情。事の成り行き。顛末。
・書物一冊の始めから終わりまで全て。
元々は一冊の書物の始めから終わりまでという事でしたが、現在は事件や物事を伝える際に最初から最後まで全て含まれているを強調する際に、「一部始終」と使われる傾向があります。”一部”は「全体の一部分」「書物の一冊」、”始終”は「始めから終わり」「事の経緯」という意味があるのでそこから、物事の全てとなります。本来は一冊の書物全てなので、”一部”を「全体の一部」と解釈するのは誤りです。また、実際に使用する際には「一部始終を語る」と表現する事も多いです。

一部始終の由来・出典

「一部始終」の由来は、残念ながら不明です。文献としては、鎌倉時代の仏教説話集「私聚百因縁集」(1257年)などに文言が記されています。

一部始終の類義語・同義語

「一部始終」の類義語には、「一伍一什」「徹頭徹尾」「終始一貫」などが挙げられます。

一部始終の使い方・例文

例文1.本屋で立ち読みをしていたら、隣の高校生が万引きする一部始終を目撃してしまった。
例文2.新婚なので、妻との会話は些細な事でも全て新鮮で一部始終全てが楽しくて幸せだ。
例文3.車を運転していて交通事故に遭った経験者なら、運転ミスなどアクシデント発生からぶつかる瞬間までの一部始終を覚えているものだ。
例文4.飲み屋にて一人呑みをしていたら、お客のヤクザと半グレが暴れ出し、これは見逃せないとこっそり一部始終を見守っていたら、途中からなぜか双方から絡まれて殴られてしまった。
例文5.警察への密着テレビ番組が何よりも大好きで、犯人逮捕の一部始終は毎回ドキドキさせられる。
最初から最後までを「一部始終」とした例文となります。

一部始終の会話例

男性
気が緩む―! 職場に上司がいないと、仕事のやる気が出ないね。
女性
そういうものですよ。
男性
ところで、俺がもう30分以上何もしないでサボっているの…。
女性
はい、その様子は一部始終全部知っています。報告されたくなかったら、明日のランチ驕って下さい。

仕事をサボっている同僚男性の様子を、一部始終目撃していたという会話内容です。

一部始終の豆知識

「一部始終」を実際に会話や例文で使用する場合は「一部始終を語る」となるのが有名ですが、これは「事の顛末を語る」「成り行きを語る」と同義となります。「一部始終」を他の類語で言い換えるなら、「経緯」「道のり」「成り行き」「プロセス」「あらまし」といった表現になります。

一部始終の難易度

「一部始終」は漢字検定8級から10級相当の文字組み合わせで、小学校低学年レベルの四字熟語となります。

一部始終のまとめ

「一部始終」は、書物一冊の始めから最後までという事から、「最初から最後まで」や「事の成り行き」といった意味を持つ四字熟語です。犯罪が起こった際に、「事件の一部始終を語る」といった使い方が一般的で、そこから事件や事故などの印象が強い言葉となっています。

時代の一部始終を見てきた海
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