【獅子搏兎(ししはくと)】の意味と由来、使い方を実例で解説!

獅子搏兎(ししはくと)

「獅子搏兎」とは「簡単な事でも油断をしないで全力を出す」という事です。ライオンは百獣の王だけあり有名な言葉・諺はいくつもありますが、その中でも「獅子の子落とし」の次に位置するのが今回の「獅子搏兎」ではないでしょうか? 多分、諺としての「獅子は兎を捕らえるにも全力を尽くす」の方が知られていると思いますが、その四字熟語版である「獅子搏兎」について調べてみました。

獅子搏兎の意味

「獅子搏兎」の意味は以下の通りです。
・簡単な事でも全力を出す。
・百獣の王ライオンはウサギを捕まえる時も必死な事から転じて、どんな時も全力を尽くす喩え。
・「獅子、兎を搏つ」(ししうさぎをうつ)と読む。
・「獅子搏兔」とも書き同義。
・諺「獅子は兎を捕らえるにも全力を尽くす」も同義。
”獅子”は「ライオン」「ライオンによく似た想像上の動物」「獅子舞の略」、”搏兎”は「ウサギを捕まえる」「ウサギを狩る」で、百獣の王であるライオンは弱いウサギを捕まえる時も一切手を抜かないので、そこから転じて、どんな時も全力を出す、簡単な事でも手を抜かないといった喩えとなります。さらに平たく言うなら、物事に本気で取り組む・真剣になる・本腰を入れる・激しい気持ちを出す・夢中になる等々が類似となります。また、ライオンとウサギの対比である事から、圧倒的な実力差などがある際に用いる言葉であり、互角同士の関係ながら差が開いた時に使うのは本来は本質から離れています。使い方としては、「獅子搏兎な気持ち」「獅子搏兎で挑む」「獅子搏兎を胸にして」といった風になります。

獅子搏兎の由来・出典

「獅子搏兎」の由来は、中国南宋時代の思想家・陸九淵の言葉からとされています。

獅子搏兎の類義語・同義語

「獅子搏兎」の類義語には、「全力投球」「猪突猛進」「一意専心」などが挙げられます。

獅子搏兎の使い方・例文

例文1.今になると子供相手と後悔しているが、真剣勝負というものだから、獅子搏兎な気持ちで将棋を三連勝したら、その日から新婚なはずの妻は途端に口数が少なく、懐いていた息子もパパから再び叔父さんと呼び始め余所余所しくなり、再婚の難しさを改めて実感した。
例文2.上司は毎朝のミーティングで「獅子搏兎な気持ちで契約を取ってこい」と発破をかけるが、こんな弱小ブラック企業がライオンの訳がないだろうと営業一同が全員胸で突っ込んでいる。。
例文3.思えば子供の頃からずっと体が小さく、どこか街ゆく人に舐められている気がしていたので、これまで一度も獅子搏兎な気持ちを本質的には理解していないと思った。
例文4.芸能リポーターが大物には忖度し、逆に実力がないタレントの離婚問題などをするどく突っ込めるのは、獅子搏兎を踏まえた上での正しい行動なのだ。
例文5.総理になって最も巨大な力を手に入れても尚、家族ぐるみで利権に貪りつく姿をこれ程までに露呈しても当人達は獅子搏兎の力学で生きているだけど、腹黒さから何とも思っていないのがこれまた闇を感じさせる。
全力や本気を出すという意味合いで「獅子搏兎」を使った例文です。

獅子搏兎の会話例

男性
これだけ兄弟揃って優勝すると、うちの子たちは将来が楽しみだな。
女性
いくら地区大会とはいえ、何年も優勝だものね。それも兄弟二人で。
男性
ゆくゆくは世界を目指す空手兄弟って、マスコミが取材に来るかも知れないな。
女性
そうなると、両親である私達にも注目が集まるわよ。でも、最近は実力差から本気を出さない時もあるので、もっと獅子搏兎になって真剣になるようにあの子達に注意しないとね。

空手をする我が子の今後の活躍に期待が膨らむ両親の会話です。

獅子搏兎の豆知識

「獅子搏兎」から”獅”や”兎”を使った四字熟語は、恩を受けながら裏切る者の「獅子身中」、獅子が奮い立って猛進する激しさの「獅子奮迅」、歳月が慌ただしく過ぎ去る「烏兎怱怱」、この世にあり得ないものの喩え「亀毛兎角」、古い習慣や仕来りに捉われて融通が利かない「守株待兎」などがあります。

獅子搏兎の難易度

「獅子搏兎」は漢字検定1級から10級相当の文字組み合わせで、”搏”は1級、”獅”と”兎”は準1級でそれぞれ大学一般レベル、”子”は10級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。

獅子搏兎のまとめ

「獅子搏兎」はライオンが全力でウサギを捕まえる事から、どんな事でも真剣になるや本気を出すという教えや喩えです。実力差が開いているとどうしても相手に気を遣ってしまうのものですが、そんな油断が時には命取りになるので、勝負事は真剣勝負という気概で挑むべきと説いているのでしょう。

私の父は「獅子搏兎は大切だ」と私に言い聞かせた。
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