鰥寡孤独(かんかこどく)
核家族や高齢化社会が進み、独居老人の孤独死などという痛ましいニュースを耳にすることも出てきました。
今回の鰥寡孤独とは身寄りがなく寂しい生活を送っている人や様子を指す四字熟語です。
意味や由来・類義語などを併せてご紹介していきます。
鰥寡孤独の意味
鰥寡孤独の意味は身寄りがなく寂しい生活を送っている人や様子です。
「鰥」は年老いた妻を失ってしまった夫のこと。
「寡」は年老いた夫を失ってしまった妻のこと。
「孤」は親のいない子供のこと。
「独」は子供がいない老人のことを指します。
四字熟語の四文字の漢字、その全てが身寄りのない人を指していて、重ねて強調することで寂しい様子も表しています。
また、鰥寡孤独は「矜寡孤独」と書くこともあります。
鰥寡孤独の由来・出典
出典は孟子の逸話などが書かれている『孟子』の梁惠王下という章です。
ここでは「文王が仁政=民衆を思いやる政治を行うにあたって、鰥寡孤独なこの世で最も困っている気の毒な人たちを救うことを真っ先に考えた。」という意味の文が出てきます。
鰥寡孤独の類義語・同義語
「鰥寡孤独」の類語・同義語には「孤影悄然」「天涯孤独」などがあります。
鰥寡孤独の使い方・例文
例文1.未婚率が増加している為、将来鰥寡孤独な生活を送る人が増える可能性がある。
例文2.鰥寡孤独な状態は地域の協力で緩和出来るかもしれない。
例文3.趣味を持つことは鰥寡孤独を防ぐ良い方法だ。
例文4.社会活動から離れてしまうと鰥寡孤独に陥りやすい。
例文5.友達も少ないので、姉が他界したらいよいよ鰥寡孤独になってしまう。
身寄りがなくても寂しい生活でなければ鰥寡孤独とは表現しません。
鰥寡孤独の会話例
人との繋がりが多くあれば寂しい思いは少なくなります。
趣味や地域活動など人との繋がりはとても大切ですね。
鰥寡孤独の豆知識
日本では701年に制定された大宝律令を修訂した養老令で初めて「鰥寡孤独、貧窮老疾(病気や年をとって生活に困っている人)、不能自存者(自立して生活出来ない人)」に対象を限定してはいますが慈善制度が規定されました。
ここにも鰥寡孤独という四字熟語が使われています。
鰥寡孤独の難易度
「鰥寡孤独」は漢字検定では1級の範囲です。
1級は難易度が高いとされていますが、漢字や意味を正しく使えると良いですね。
鰥寡孤独のまとめ
なんと中国では紀元前から、日本では757年頃から鰥寡孤独の人々を国で守ろうという動きが始まりました。
こんなにも長い期間、国で守ろうとしている人々の現在の状況はどうなのでしょうか。
以前に比べて少子化と高齢化が進み核家族が一般的になったことにより、この点においては現在の方が手薄になってきているかもしれません。
鰥寡孤独のような弱者にこそ優しい仁政が今後より求められていくのではないでしょうか。