【幽明異境(ゆうめいいきょう)】の意味と例文と使い方

幽明異境(ゆうめいいきょう)

「幽明異境」とは「死別や永眠など大切な人との永遠の別れ」です。今まで隣にいてくれた大切な家族が亡くなった時などに使う言葉で、現在も弔辞などで多用される表現です。四字熟語は基本的に前向きであったり希望が持てる言葉が多く、死別に対してここまではっきり申しているのはある意味で珍しいですが、それでは解説に入らせて頂きます。

幽明異境の意味

「幽明異境」の意味は以下の通りです。
・死に別れ。死別。
・現世とあの世で住む場所が違ってしまう事。
・「幽明、境を異にす」(ゆうめい、さかいをことにす)と読む。
”幽明”は「あの世と現世」「冥土とこの世」「幽界と顯界」、”異境”は「住む世界が違う」となり、大切な家族や夫婦などの死に別れる事を「幽明異境」と言います。日常会話などではあまり使われませんが、葬式の弔辞などで用いられます。妻や夫、或いは家族の誰かが天国に旅立つと、もう二度と会う事が出来ないので、そんな死別の表現を特に葬式などの場では「幽明異境」と言い換えます。死んでしまった人や残された家族に、もう住む世界が変わってしまったと断言する事で、気持ちを和らげたり前向きになろうとしているとも受け取れます。

幽明異境の由来・出典

「幽明異境」の由来は、残念ながら不明です。文献としては、”幽明”は平安時代の僧で真言宗の開祖・空海(弘法大師)による漢詩文集「性霊集」(835年)、”異境”は奈良時代の歴史書「日本書記」(720年)などに文言が記されています。

幽明異境の類義語・同義語

「幽明異境」の類義語には、「幽明隔処」「広宵大暮」などが挙げられます。

幽明異境の使い方・例文

例文1.迷惑ばかりかけてしまった父が亡くなり数日が経過したが、幽明異境となった現実が受け入れられない。
例文2.同僚が突然亡くなり、先輩が読んだ弔辞の幽明異境の部分を聞いた瞬間、急に現実から涙が溢れた。
例文3.愛する妻ともいずれ幽明異境となる事を考えると、人生とは空しく儚いものだ。
例文4.東日本大震災から10年が経過し、家族が自然の猛威によって幽明異境となる現実を受け入れるべきなのかも知れない。
例文5.ドラマや小説では人の生死はあっけないが、自分の身に降り掛かると幽明異境を受け入れるのは時間がかかる。
家族の死別などで「幽明異境」を使った例文です。

幽明異境の会話例

男性
御帰り。どうだった葬式は?
女性
うん。職場で人が亡くなるのは嫌なものね。
男性
確かにね。家族は幽明異境を受け入れるのは、時間が掛かるよ。
女性
いい人だったんだけど…。急に交通事故で亡くなるなんて。人の人生なんて、何が起こるか分からないものね。

同僚が亡くなり葬式から帰宅した妻と、家で留守番をしていた夫の会話です。

幽明異境の豆知識

「幽明異境」から”葬式”や”死別”に関する四字熟語は、成人式や結婚や葬式などの儀式の総称「冠婚葬祭」、喪中の家の飼い犬から元気がなくやせ衰えている人の「喪家之狗」、愛する人との別れ「愛別離苦」、とても悲しい別れ「生離死別」、祖国に帰れずに死んでしまう「異域之鬼」などがあります。

幽明異境の難易度

「幽明異境」は漢字検定3級から9級相当の文字組み合わせで、”幽”は3級で中学卒業レベル、”異”は5級、”境”は6級でそれぞれ小学校高学年レベル、”明”は9級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。

幽明異境のまとめ

「幽明異境」は葬式の弔辞などで使われる四字熟語で、大切な人との死別であり、これからはお互いに住む世界が冥土と現世で変わってしまった事です。夫や妻、或いは子供が亡くなると感情が混乱して受け入れるのは難しいですが、それでもこれからは世界が違うと生き残った者にも亡くなった者にも言い聞かせている様に感じられるのが「幽明異境」です。

友人が交通事故でなくなり、幽明異境となった。
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