【一業所感(いちごうしょかん)】の意味と由来、使い方を実例で解説!

一業所感(いちごうしょかん)

「一業所感」とは「過去の行いは未来に反映するという仏教の考えで、前世の業はいずれ同じ報いを受ける事」です。人々を救うはずの仏教としては少々冷たい感じもしますが、善悪の行いはいずれ自分に降り掛かるという「因果応報」的な四字熟語「一業所感」の解説となります。

一業所感の意味

「一業所感」の意味は以下の通りです。
・複数の人が前世の業によって同じ報いを受ける事。
・仏教用語でそれぞれの人が同じ業によって同じ果を得る事。
・「共業共果」も同義。
”一業”は「結果を伴う一つの過去の行い」、”所感”は「過去の行いから生まれる結果」で、どんな人でも善悪の行いによって同じ報いを得るのが「一業所感」です。良い行いをすれば良い結果となり、悪い行いをすれば悪い結果を得るのは万人に共通として、どんな人も相応の報いを得るのは宿命のようなものなのでしょう。ですから、何も「悪い事をするな」や「良い事をしなさい」と説いている訳ではなく、行いには相応しい結果が伴うのでその覚悟を持つべきなのでしょう。そして、大規模な災害時の要因として前世の業の報いを受けた際などに「一業所感」と使われたりします。複数人が同じ報いとなると本来はかなり限定されてしまうので、昔は災害などで被災者を納得させる為に用いられたと思います。

一業所感の由来・出典

「一業所感」の由来は残念ながら不明です。文献としては、鎌倉時代の軍記物語「平気物語」の三巻などに文言が記されています。

一業所感の類義語・同義語

「一業所感」の類義語には、「共業共果」「自業自得」「因果応報」などが挙げられます。

一業所感の使い方・例文

例文1.なぜ団体競技が好きなのかというと、勝利を掴んだ際の仲間との一業所感となる感覚は何ものにも代え難いからだ。
例文2.俺が刑務所上がりなのは前世が悪いのではなく、自分自身の業による一業所感といったところだろう。
例文3.一業所感と自分自身を納得させれば、報いも受け入れるしかないと納得できる。
例文4.一業所感の悲しみを胸に刻み、二度と同じ過ちを犯さないように努力する所存であります。
例文5.幸運も不運も一業所感であり前世レベルで決まっていると友人が語っていた。
「一業所感」を使った例文となります。

一業所感の会話例

男性
どうしてあのタレントは道を踏み外したのか…。
女性
若い芸能人は誘惑が多いんじゃないの? 知らんけどね。
男性
でもこれだけ薬物にうるさい世の中なのに、何故だよ?
女性
それは真っ当な人の意見よ。これまでドラッグで捕まった芸能人がみんな執行猶予で甘いから、一業所感じゃないけど大した罪じゃないって軽く考えるのよ。

芸能人の薬物逮捕事案について双方が意見を言い合っています。

一業所感の豆知識

「一業所感」から”報い”に関する四字熟語は、苦労した両親が亡くなりその恩に報いれなかった嘆き悲しみの「哀哀父母」、悪い行為には悪い結果や報いがある「悪因悪果」、命をかけて国恩に報いる「一死報国」などがあります。

一業所感の難易度

「一業所感」は漢字検定8級から10級相当の文字組み合わせで、”業”と”所”と”感”の三文字は8級で小学校中学年レベル、”一”は10級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。

一業所感のまとめ

「一業所感」は仏教用語で、人間とは同じ業の報いを受けるという事です。良い行いなら良い結果、悪い行いなら悪い結果が伴うので、それはある種の運命として受け入れるしかありません。希望や悲観であり諦めとも受け取れる、感慨深い四字熟語が「一業所感」ではないでしょうか。

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