【一念発心(いちねんほっしん)】の意味と由来、使い方を実例で解説!

一念発心(いちねんほっしん)

“一念”という言葉が使われる事から、どことなく宗教や仏教を想像させる四字熟語が「一念発心」です。多くの人は「一念発起」の方が馴染みがあると思いますが、この二つには決定的な違いがあります。同義扱いと誤解しやすいので、その違いなどを中心に詳しく解説をさせて頂きます。

一念発心の意味

「一念発心」の意味は以下の通りです。
・仏教用語の一つで、深く思い詰めて仏教の道に入る事。
・仏教の世界に入信、出家する事。心から思い仏教の道に入る。
「一念発心」とは、非常に固い決意で仏教の世界に入る事、入信や出家という意味があります。他の意味もあると誤解をしやすいですが、実はこれだけで仏教の専門用語の一つとなります。”一念”は「深く心に思う」「深い心」、仏教用語で「短い時間」「一度の念仏」、”発心”は「物事を始めようと思い立つ」、仏教用語で「悟りを得ようと心を起こす」「仏門に入る」という意味があります。よって、二つを合わせて仏教用語の「一念発心」となります。因みに類語であり勘違いしやすい「一念発起」も実は同じく仏教用語なのですが、「新しく何かを始める際の決意」「熱心に励む」「仏教の道に入る」という意味があります。まとめると、以下の様になります。
・一念発心…完全なる仏教用語で、仏門の世界に入るだけの意味となり使用機会が限定される。
・一念発起…本来は仏教用語だが、仏教以外の日常生活でも使用可能な幅広い意味や解釈を含む。

一念発心の由来・出典

「一念発心」の由来は残念ながら不明です。「一念発起」の場合は、鎌倉時代後期の仏教書「歎異抄」なので、同様の可能性もありますが憶測の域を出ていません。文献としては、”一念”は「源氏物語」の第37帖「横笛」に文言が残されています。

一念発心の類義語・同義語

「一念発心」の類義語には、「一心発起」「一念発起」などが挙げられます。

一念発心の使い方・例文

例文1. 一念発心して仏門に入った弟と数年ぶりに再会した。
例文2.高校生になってから仏教に強い興味が出たので、大学は一念発心してその系統を受験するつもりだ。
例文3.修行は辛いだろうが、夫婦揃って一念発心して仏門を目指すと誓った。
例文4. 週末だけ仏教の活動をするのはもどかしいので、早く会社を辞めて一念発心したい気持ちが日に日に強まる。
例文5.恋人が一念発心して出家したので、離れ離れの生活になってしまった。
仏門が心の救いなんですね。

一念発心の会話例

男性
ちょっと聞いたよ。会社を辞めるんだって?
女性
ええ、そうですね。
男性
どうして、何があったの?
女性
現世は汚れた人が多いので、一念発心して俗世界とは縁を切り仏門に入信します。

確かに汚れた人間は多い気がします。

一念発心の豆知識

「一念発心」以外にも、”一念”を使った四字熟語には「一念往生」「一念化生」「一念三千」「一念通天」などがあります。これらは基本的には仏教用語、または仏教と関係深い言葉で、”一念”が「少しの時間」「強い思いや願い」となります。使い方の多くは「一念発心」の様に仏教に限定される訳ではないので、日常における喩えとしても可能です。

一念発心の難易度

「一念発心」は漢字検定7級から10級相当で、小学校中学年から低学年レベルの容易な四字熟語となります。

一念発心のまとめ

「一念発心」は、仏門に入るや出家する、又は強く仏門に入る事を希望するといった意味で、仏教に入る際の喩えとして用いられる四字熟語です。”一念”と”発心”のどちらも仏教用語で、そこから完全なる仏教用語となりました。類語である「一念発起」と誤解や混合しやすいので、使う際には注意が必要です。

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